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天理教における前夜祭みたまうつしの儀
天理教の葬儀は神道の影響を強く受けていますが、独自の教義に基づいた儀式が行われ、仏式の通夜にあたるものを「みたまうつし(通夜祭)」と呼びます。天理教では、人間の体は親神(おやがみ)様からの「借り物」であり、死は魂が体を離れて親神様の元へ帰る「出直し」であると考えられており、いつか再びこの世に戻ってくるための準備期間と捉えられています。そのため、「みたまうつし」は、故人の魂を古い体から新しい住まいである「霊璽(れいじ)」に移す極めて重要な儀式であり、斎主による祭詞奏上や、独特の楽器を用いた雅楽の演奏、そして「おつとめ」と呼ばれる祈りの儀式が行われます。特に注目すべきは「みたまうつしの儀」そのものであり、これは通常、消灯して暗闇の中で行われ、斎主のみが微かな明かりを頼りに、故人の魂を象徴する鏡や御幣を霊璽に移す厳粛な所作を行いますが、この間、参列者は静かに頭を下げ(平伏し)、神秘的な気配を感じながら故人の旅立ちを見守ります。その後、参列者全員による「玉串奉奠」が行われますが、天理教の作法は神道とは少し異なり、二礼四拍手一礼(拍手は音を立てても良い場合と忍び手の場合があるため、周囲に合わせるか斎主の指示に従う)の後に「一拝(軽く頭を下げる)」を加えるなど、独自のスタイルがあります。また、天理教の葬儀では「おさづけ」と呼ばれる手振りを含んだ祈りが行われることもあり、初めて参列する人は戸惑うかもしれませんが、見よう見まねで合わせるか、静かに見守るだけでも失礼にはなりません。香典の表書きは「御玉串料」や「御霊前」とし、蓮の華の絵が入った不祝儀袋は仏教用なので避け、無地か銀の水引のものを選びます。天理教の前夜祭は、故人が「出直し」て親神様の懐に抱かれることを祝うような側面もあり、悲しみ一色ではない、明るく前向きな祈りの場としての性格を持っている点が大きな特徴です。