どんなにマナーに適合した時計をつけていても、葬儀の最中に頻繁に時計を見るという「行為」そのものが、最大のマナー違反であり、遺族や周囲に対して極めて失礼な態度となることを忘れてはいけません。読経中や焼香の列に並んでいる時に、何度も腕を上げて時間を確認したり、あからさまに時計を覗き込んだりする姿は、「早く終わらないかな」「退屈だな」「次の予定が気になる」という心の声を行動で示しているようなものであり、故人への哀悼の意が感じられません。特に、喪主や遺族は、参列者の様子をよく見ていますので、時計ばかり気にしている人がいれば、「忙しいのに無理に来てもらったのか」「心ここにあらずだな」と悲しい気持ちにさせてしまうでしょう。どうしても時間が気になる場合(例えば、電車の時間や仕事のアポイントがある場合など)は、時計を体の内側に隠すようにしてこっそりと見るか、トイレに立った際などに確認するのがスマートな対応です。また、時計のアラーム機能や時報(ピッという音)が式中に鳴り響くのも厳禁ですので、事前に必ず設定を解除しておくか、リューズを引いて時計を止めておくくらいの慎重さがあっても良いかもしれません。葬儀の時間は、現世の時間を忘れて故人と向き合うための特別な時間ですので、自分のスケジュールの都合を優先させるのではなく、その場に身を委ね、静かに時が流れるのを待つ心の余裕を持つことが、参列者としての品格を高めることにつながります。時計はあくまで「身だしなみ」の一部として身につけるものであり、式中は「見ないもの」として扱うのが、究極の時計マナーと言えるのです。