葬儀のお手伝いに対するお礼は、現金ではなく品物で贈ることも多くあります。特に、親しい間柄の方や、現金ではかえって相手に気を使わせてしまうと感じる場合には、品物で感謝の気持ちを表すのが適しています。しかし、どのような品物を選べば良いのか、また避けるべきものはあるのか、その選び方にはいくつかのポイントがあります。まず、お礼の品物選びの基本的な考え方は、香典返しと同様に「あとに残らない消え物」が良いとされています。これは、不幸を後に引きずらないように、という意味合いが込められています。具体的には、お茶やコーヒー、紅茶などの飲み物、日持ちのする焼き菓子や海苔、調味料のセットといった食料品が定番です。また、石鹸や洗剤、タオルといった、日常生活で使ってなくなる日用品もよく選ばれます。品物の金額の相場は、三千円から五千円程度が一般的です。あまりに高価な品物は、かえって相手を恐縮させてしまうため避けた方が無難です。品物を選ぶ際には、相手の家族構成や好みを少し考慮すると、より心のこもった贈り物になります。例えば、小さなお子さんがいるご家庭ならお菓子の詰め合わせ、お酒が好きな方なら少し上等な日本酒やビールなども喜ばれるでしょう。一方で、お礼の品として避けるべきものもあります。鰹節や昆布、お酒など、一般的に慶事で使われることが多い品物は、不祝儀の際のお礼としてはふさわしくないとされています。ただし、お酒に関しては故人が好きだったなどの理由があれば、一概にマナー違反とは言えません。また、肉や魚などの生ものも、相手の都合や宗教上の理由などがあるため、避けた方が賢明です。品物を贈る際には、必ず「御礼」と書いた掛け紙(のし紙)をかけます。水引は、結び切りの白黒か双銀のものを選びます。品物選びに迷った際には、相手が好きなものを選べるカタログギフトも一つの選択肢です。大切なのは、品物を通して「あなたのおかげで助かりました」という感謝の気持ちを伝えることです。