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2026年3月
  • 懐中時計という選択肢とマナー

    知識

    腕時計が普及する前、紳士の必携アイテムであった「懐中時計」は、現代の葬儀においても非常に格式高く、スマートな選択肢として密かに注目されています。懐中時計の最大のメリットは、腕に何もつけないため、焼香の際に袖口がすっきりとして美しく見えることであり、時間を確認する所作(ポケットから取り出し、蓋を開けて見る)も静かで優雅なため、厳粛な葬儀の場に非常にマッチします。また、懐中時計は基本的にクラシックなデザインが多く、白文字盤にローマ数字といった伝統的なスタイルは、弔事における「正装」としての要件を完璧に満たしており、腕時計のマナー違反(派手なベルトや文字盤)を気にする必要がありません。ただし、懐中時計を繋ぐ「チェーン(鎖)」に関しては注意が必要で、金色のチェーンや、ジャラジャラと音が鳴るような太いチェーンは避け、シルバーのシンプルなチェーンや、黒の組紐(くみひも)を選ぶのがマナーです。特に組紐は、和装(紋付袴)で参列する場合にも相性が良く、音もしないため、最も葬儀に適したストラップと言えるでしょう。懐中時計を持っていない人でも、最近では手頃な価格のクォーツ式懐中時計が販売されていますし、祖父の形見の懐中時計などがあれば、それをメンテナンスして使うことも、故人とのつながりを感じさせる素敵な供養になります。腕時計の締め付けが苦手な人や、金属アレルギーがある人にとっても懐中時計は有効な選択肢であり、ポケットに忍ばせた小さな時計が刻む静かな時間は、故人との最後の別れの時をより一層深く、心に残るものにしてくれるかもしれません。